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グルタミンの医療関連の論文要旨

A:ICU、侵襲、重症外傷関係

1.熱傷、外傷、ICU入室患者には、グルタミンを利用すべきとの提案

グルタミンパウダーを水溶化して経口またはチューブを介して2-3回/日投与すべきと提案されている。その目安量は、0.3-0.5g/体重kg/日である。

ASPEN 2009 guideline for nutrition Support Therapy F3

2.重症患者に対するメタ解析

●グルタミンの経口摂取による手術、危篤患者の死亡率リスク比0.78。

●グルタミンの経口摂取による伝染性の合併症低下率は、リスク比0.81。

●グルタミンの経口摂取による入院日数の短縮は、マイナス2.6日。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12352035

Frantisek Norvak, Heyland, Crit. Care Med 2002; 30(9)

3.多発外傷患者の敗血症・肺炎・菌血症低減

16gのグルタミンと4gのアルギニンを含む経腸栄養剤を5日間以上投与してコントロール群と比較して敗血症・肺炎・菌血症発症が抑制できた。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9737282

Alexander PJ, The Lancet 1998;352

4.多発性外傷患者の肺炎・敗血症の発症低減

多発性外傷患者55名に対してグルタミンを1日15g経腸栄養で投与した時に肺炎・敗血症の発症が有意に低下した。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12221212

Boelens PG, J Nutr. 2002 Sep;132(9):2580-6.

B:熱傷

1. 熱傷患者のCRP・敗血症の低下、死亡率・炎症程度の改善

熱傷患者に0.57g/kg/日のグルタミンの経腸投与により、熱傷患者のCRP・グラム陰性菌由来の敗血症の低下、死亡率・全体的な炎症程度が改善された。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11700398

Wischmever PE, Crit. Care Med 2001; 29(11)

2. 重度の熱傷に対する効果

40人の熱傷患者(体表面熱傷範囲は20%から40%でV度熱傷、または体表面熱傷範囲は50%から80%)にグルタミン(gln)を含む経腸栄養剤を0.35g gln/kg体重/日摂取させる群と、標準的な経腸栄養摂取させる群とに分けた。グルタミンを摂取させた群の病院滞在日数(p=0.026)、入院費(p=0.031)が有意に低下した。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12903886

Zhou YP, JPEN J Parenter Enteral Nutr. 2003, Jul-Aug;27(4):241-5

3.成人の熱傷患者に対する効果

成人の熱傷患者を、コントロール群とグルタミンを26g/日、33±17日間摂取する群とに分けた。コントロール群19人対グルタミン摂取群16人に対し、熱傷から72時間以内の死亡者は8人対0人となり、グルタミン摂取群の死亡率が有意に低下した(p=0.01)。また、コントロール群は緑膿菌陽性の患者が7人に対し、グルタミン摂取群は0人となった(p=0.01)。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14530749

Garrel D, Crit. Care Med. 2003, Oct;31(10):2444-9

4. 重度の熱傷患者に対する腸管粘膜への効果

48人の重度の熱傷患者(総熱傷表面積30~75%、全層性熱傷面積20~85%)を熱傷コントロール群(B群)とグルタミン摂取群(0.5g/kg、G群)とに分け、14日間経過観察を行った。血漿グルタミン濃度はG群がB群に対し有意に増加した(p<0.01)。また、病院滞在日数はB群が55.68±17.36日に対してG群は46.59±12.98日となり、有意に小さな値となった(p<0.05)。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=effects+of+enteral+supplementation+with+glutamine+granules+on+intestinal

Peng X, Burns. 2004 Mar;30(2):135-9

C : がん関係

1.化学療法時の口内炎予防

化学療法で5FUを投与される患者51名に対して少なくとも3日前から1日30gのグルタミンを15日間摂取した群としない群の比較により、有意に口内炎の発症が抑えられた。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16949180

Kwon Choi, Clin. Nutr. (2007) 26,57-62

2. 放射線治療時の口内炎改善

頭部・頚部癌で放射線治療を受けている患者(1.8GY/Fr5回/週)17名の2群比較をRTOG/EORTC(NCI)により行った。1日4回(毎食前および就寝時)にグルタミン2gを30mlの生理食塩水に溶解して3分間うがいしたところ口腔粘膜炎客観評価の各ステージの期間が有意に短縮された。また最大値も有意に低くなった。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Oral+glutamine+to+alleviate+radiation-induced+oral+mucositis%3A+a+pilot+randomized+trial

ENG-YEN. J Radiation Oncology Biol. Phys. Vol . 46,NO.3,pp.535-539,2000

3. 頭頸部癌患者で化学療法時の口内炎重症度の改善

頭頸部癌患者で化学療法を受けている患者が、0.4g/kg/日のグルタミン経口投与で、口内炎発症時の重症度を軽減した。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Int%20J%20Radiat%20Oncol%20Biol %20Phys.%202006%20%3B65(5)%3A1330-7.

Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys. 2006 ; 65(5):1330-7.

D : 移植関係

1. 骨髄移植の化学療法時に口内炎などの改善

骨髄移植患者21名に対してswish-and-swallowでグルタミンを4時間ごとに投与し、1日24g摂取したところ、グルタミン摂取区は、モルヒネの使用がなくなり、粘膜炎の程度や期間が減少した。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10917373

Cockerham MB, Ann Pharmacother. 2000 Mar;34(3):300-3

2. 小児の患者の口内炎改善

小児の骨髄移植患者において28日間 0.6g/kg/日のグルタミン経口投与で口内炎発症時の重症度を軽減した。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Bone%20Marrow%20Transplant.% 202005%20%3B36(7)%3A611-6.

Bone Marrow Transplant. 2005 ; 36(7):611-6.

E:下痢

1. クロストリジウム・ディフィシル(CD)誘発性下痢の改善

ラットの腸の陰窩上皮細胞株をCDが産生する毒素(toxin B)に曝露させた。24時間後にはtoxin Bが0.01ng/ml曝露された細胞の面積が有意に低下したが、アラニルグルタミンを10mM添加した場合は有意に増加した(p<.001)。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Intestinal+epithelial+restitution+after+TcdB+challenge+and+recovery+from

Rodrigues RS, J. Infect Dis. 2013 May 15;207(10):1505-15

2. 幼児の急性下痢の改善

生後6〜24ヶ月の急性下痢の幼児63人に0.3g/kg/日のグルタミンを服用させ、プラセボ65人と7日間比較した。グルタミン摂取群は下痢の平均期間が有意に低下した(p=0.004)。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Effectof+glutamine+supplementation+on+diarrhea%2C+interleukin-8

Yalcin SS, J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2004 May;38(5):494-501

3. エイズ患者の下痢改善

下痢のエイズ患者をコントロール群、グルタミン(Gln)摂取群(30gGln+15gグリシン/日)、アラニルグルタミン(Ala-Gln)摂取群(44gAla-Gln/日)に分け、7日間臨床検査を行った。Ala-Gln摂取群の9人中8人(p=0.05)、Glnを摂取した30人中26人(p=0.01)の患者の便の頻度、軟度が改善された。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15227625

Bushen OY, Clin. Infect Dis. 2004 Jun 15;38(12):1764-70

4. 化学療法薬による下痢の改善

70人の大腸がん患者を、グルタミン摂取群(18g/日)とプラセボ群とに分け、化学療法を行う5日前から摂取を行い、15日間継続させた。腸の吸収率、透過率はプラセボ群が有意に減少した(p=0.02)。化学療法薬(フルオロウラシル/フォリン酸)の投与で誘発される下痢が改善された。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11115819

B Daniele, Gut. 2001;48:28-33

5. 化学療法による下痢のメタ解析

化学療法によって誘発される下痢へのグルタミンの効果について、8つの論文のメタ解析を行った。合計298人の患者は、グルタミン摂取群147人、プラセボ群151人に分けられた。グルタミン摂取群はプラセボ群に対して、下痢の期間が有意に低下した(重量平均差−1.06,信頼区間95%)。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22705427

Juxian Sun MD, Asia Pac. J. Clin. Nutr. 2012;21(3):380-385

F:絨毛

1.内毒素血症のラットへのグルタミン摂取の効果

生後18日の80匹のラットを、内毒素血症群とグルタミン摂取群(2g/kg/日)とに分けた。内毒素血症はリポ多糖(LSP)によって誘発され、LSP注入から6、72時間後のグルタミン摂取群の血漿中のジアミン酸化酵素(DAO)活性は有意に減少した(p<0.05)。また、LSP注入から6、24、72時間後、7日後のグルタミン摂取群の腸のDAO活性は有意に増加した(p<0.05 or 0.01)。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20959048

Chang X, Zhongguo Dang Dai Er Ke Za Zhi. 2010 Oct;12(10):809-11

2. LSP注入されたラットに対するグルタミンの効果

250~280gのラットをコントロール群、LSP群(10mg/kg/日)、LSP-GLN群(飲料用水にグルタミン2%含有)の3群に分け比較した。LSP-GLN群はLSP群に対し、空腸の腸重量、空腸と回腸の粘膜重量・粘膜のDNA、絨毛の高さが有意に増加した。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Oral+glutamine+prevents+gut+mucosal+injury+and+improves+mucosal+recovery+following

Sukhotnik I, J. Surg. Res. 2007 Dec;143(2):379-84

3. グルタミンによる免疫強化

250~300gのラットをコントロール群とグルタミン摂取群(1g/kg/日)とに分け、コントロール群には偽手術、グルタミン群には胆管結紮を施し、7日間経過観察を行った。グルタミン群には術後もグルタミンを与え続けた。術前、術後期間において、グルタミン群の細菌移行が有意に少なくなった (p<0.001)。また、閉塞性黄疸による絨毛の萎縮が有意に軽減された。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12765668

Zulfikaroglu B, Clin. Nutr. 2003 Jun;22(3):227-81

4. 腸切除されたウサギへのグルタミンの効果

腸切除された30匹のウサギを、コントロール群(完全静脈栄養摂取)、L-グルタミン静脈内投与群に分け、経過観察を行った。L-グルタミン静脈内投与群において、平均絨毛高さ、陰窩の深さが有意に増加した(p=0.0001)。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22426906

Tekin A, Turk J. Gastroenterol. 2010 Sep;21(3):236-43

5. 出血性ショック状態のウサギへのグルタミンの効果

生後26±3日のウサギ18匹をコントロール群、低グルタミン投与群(L-Gln群、0.5g/kg/日)、高グルタミン投与群(H-Gln群、1.0g/kg/日)に分け、出血性ショック状態を誘発させ7日間経過観察を行った。蘇生後、6~24時間でL-Gln群とH-Gln群の血漿DAO値と血清IL-8値がコントロール群と比較し有意に減少した。また、L-Gln群とH-Gln群との差は認められなかった。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=protective+effects+of+glutamine+on+the+intestinal+mucosal+barrier+in+young+rabbits

Rao XP, Zhongguo Dang Dai Er Ke Za Zhi. 2006 Feb;8(1):66-70

G:その他

1.H.Pyloriに対する効果

マウスの実験で約7%グルタミンを含有するエサの摂取によりプラセボ群よりもピロリ炎症の各種指標が有意に変化した。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19261732

Hagen SJ, J. Nutr. 2009 May;139(5):912-8